×月×日

 今日の朝刊にこんな特報が出ていた。――
 「米国文化へ薄れる憧れ」「日本人『ハリウッド』離れ」「音楽の人気低調 留学も減」「震災 価値観に影響」「イラク戦争などで印象悪化」・・・
 私に言わせれば、今頃何を、という感じである。映画といえば、「スターウォーズ」などが出だした頃から、ハリウッド映画はCG全盛時代に突入した。新聞の記事を拾えば、「派手な特殊効果や戦闘シーンなどによるエンターテインメント志向への嫌気がある」、「ハリウッド映画は世界中をマーケットにした分、品質を落としている。子供っぽくて、日本人の大人の見る映画でない」等。当然だろう。いい年をした大人があんなものを見て楽しむ現象自体が異常としか言いようがない。ああしたものはマンガの領域だ。大人だってマンガを読むというのなら、それも異常としか言いようがない。政治家の質は国民の質を反映するのと同じで、映画の質も観客の質を反映しているのだ。「ハリー・ポッター」や「パイレーツ・オブ・カリビアン」はヒットしたが、それらだってマンガが描く領域ではないのか。
 さらに新聞の表現を借用すれば、「米国に留学する日本の学生の減少にも歯止めがかからない。・・・・・・日本の少子化や経済情勢の悪化も原因の一つだが、米国を目指す空気は薄い。国、地域別ランクでも、日本は中国、インド、韓国、台湾などに抜かれた」、「米国の技術、民主主義、対等な夫婦関係、『明るさ』ばかりではなく、ベトナム戦争時の反戦運動などのカウンターカルチャーさえ、日本人にとっては憧れであった。しかし、その後、日本人の米国に対するイメージを悪化させるような出来事が続いた。イラク戦争などでの米国の『強引さ』、格差貧困、リーマン・ショックなどを経て、日本人は米国を目標としていいのかと思うようになった」、「日本人の価値観が東日本大震災と福島第一原発事故の後、特に変化した。米国的な競争社会、拝金主義に対する疑い、嫌気が出てきている。穏やかな方向を日本人が求めるようになっている」、「戦後しばらくの日本が豊かではない時代、ハリウッド映画や米国テレビドラマに登場する広い家、大きな車、食料がぎっしり詰まった大型冷蔵庫は日本人の心を魅了し、それが米国文化に対する人気につながっていた部分がある。しかし、そうした物質的豊かさを、日本人が第一の価値と考えなくなったのではないか」。
 そして新聞は末尾をこう締めくくっている――「日本人が米国的な物質的豊かさとは異なる新たな価値を模索する過程にいることを示している」

 遅いよ。そういうことは事態がこうなる前に、もっと早く言うべきことだった!(水野)
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